台峯保全連絡会には
NPO法人北鎌倉の景観を後世に伝える基金の他、梶原山環境委員会、鎌倉中央公園を育てる市民の会、法人鎌倉広町台峯の自然を守る会、台峯周辺地域住民有志、台峯の自然を考える梶原の会、台峯の自然を守る会、フレンズ オブ カマクラ・台峯 計8団体が参加しています。

 
鎌倉市中央公園拡大区域 (台峯)基本構想のための市民説明会資料に対する意見(一部)
                                      台峯保全連絡会
初めに

 広報された山崎「台峯緑地」基本構想(素案)につき、未整理を理由として素案の一部(3分の1程度)が頭書の通り資料として示され説明が行われました。ここではその範囲で意見をまとめることとし、残余の部分が示され次第意見を追加したいと思います。

 基本構想の素案は、鎌倉中央公園のような都市公園的整備の否定、台峯の生態系保全という観点からは、きわめて不十分であり、以下の通り問題点の指摘および提案をいたします。

山崎・台峯緑地は、鎌倉中央公園の都市公園的整備とは異なる理念で後世に遺したい。

 山崎・台峯緑地は、鎌倉中央公園と一体の緑地ですが、長年人手が入らず放置されてきたため、田畑が存続している鎌倉中央公園とは、異なる自然環境が形成されつつあります。野草や両生類など里山の生物が衰退している反面、人の出入りが少ないため自然の聖域的な役割が強く、猛禽類や獣の安住の地となっています。

 加えて、緑地内の溜め池は、市内で最もよく保存された止水環境であり、貴重な生物も確認されています。このため、里山的な生態系が市民活動の結果保全されている鎌倉中央公園と、手つかずで保護されている山崎・台峯緑地が相互補完でモザイク状の多様な自然環境を形成しており、旧鎌倉地区の緑地には類を見ない特徴的な緑地となっています。

 近年は、鎌倉中央公園(東谷、池の谷戸地区)の整備により、谷戸の地形と里山の景観が変貌し、残された台峯地域の景観はかけがえのないものになりました。また、多くの来園者でにぎわう鎌倉中央公園と隣接する緑地として、人が入らない山崎・台峯緑地は生態系の核(聖域)としての役割が、ますます重要になってきている点を忘れてはならないでしょう。

 以上のように、台峯の現状に鑑みれば、鎌倉中央公園とは全く異なる発想で、ゾーニングおよび整備方針を検討しなければならないことが明白です。すなわち、人工物を極力排した、里山的な景観と残存する里山生態系の保全。併せて自然の核になる手つかずの地域を保護することを基本としてください。

 さらに、オープンスペースや散策路を整備して、大勢の利用者を呼び込むといった、従来の都市公園的整備の考え方を払拭し、里山の景観や自然をより良い形で後世に遺すという理念に転換していただきたいと思います。そのための市民参加と協働のあり方を模索し、市民に新しい形の自然とのふれあいを提案、提供していくことが今後の大きな課題であると考えます。御谷騒動から数年を経た現在、自然や市民社会のあり方も大きく変貌を遂げております。ナショナルトラスト発祥の地である鎌倉から、新しい情報発信が求められているのではないでしょうか。