北鎌倉地域の景観について

              公聴会で当基金理事が公述を行いました。

              建物の高さは10m~12mの範囲で


鎌倉市が開催した「景観地区と高度地区の都市計画の決定の市の素案についての公聴会」に吉野理事長、望月理事がそれぞれ公述人として意見を述べました。2007年10月。

       市の素案についての当基金の基本的な考え方
北鎌倉地域の景観地区・高度地区の指定について

当基金の基本的な考え方

今回の鎌倉市の提案は、従来「高さ」について法的規制がなかった地区に法的根拠を与え、今の景観を大きく損なうことが少なくなるという意味で評価できると考えます。
しかし、鎌倉市の言う北鎌倉地域の絶対高さの制限 15mは、旧鎌倉中心部の商業地域と同じ高さ制限で、既存の建物の高さ及び道路を含む地区のスケールを考えるとき、高すぎる点が問題であると考えます。
素案がそのまま決定されると無条件で高さ15mのマンションが次々と計画されるのではないかとの危惧を抱きます

鎌倉街道沿いの地域は北鎌倉駅を基点として南と北では少し様相が異なる町並みが形成されています。南は円覚寺の門前町としての町並みの趣が強く、北は店舗が立ち並ぶ商業ゾーンの趣があります。
都市計画素案によれば、北鎌倉駅から南は景観地区、北鎌倉駅から北は景観地区の他に高度地区が指定されています。北鎌倉駅から北の地区では「第1種中高層住居専用地域」が「高度地区」そして「近隣商業地域」が「景観地区」に指定され、現況の都市計画の用途地域との整合をとったものとなっています。
都市計画素案よれば高度地区、景観地区ともに建築物の高さの最高限度は15mとされています。
さらに「高度地区」は緩和条項があり20mまでの高さ制限の緩和が可能とされています。


1)「高度地区」について
当該地域は街道に沿った狭い地域であることから、高さについての緩和条項のある「高度地区」の指定はやめ、「景観地区」として統一指定すべきと考えます。

2)建物の高さの最高限度   
●北鎌倉駅から南 明月院踏み切りに至るゾーン
  高さの最高限度は10mとする。
  このゾーンに接する地域は「風致地区・第一種低層住宅専用地域」で建物の高さは
  10mに制限されており、一体感のある景観をつくる必要があると考えます。
●北鎌倉駅から北 小袋谷の交差点に至るゾーン
  高さの最高限度は12メートルとする。商業活動に配慮。
3)建物の後退距離指定
北鎌倉駅から北 小袋谷の交差点に至るゾーンこの地域は歩道らしいものがなく、朝夕は通勤時の高校生と通勤者で混雑し、たびたび車両との接触事故が起こっている。そこ で建物の後退距離を定め歩道上空間を創出できるような条項を盛り込む必要があると考えます。
※ 公聴会の席で本会公述人としては後退距離指定については言及していませんが、現状の問題点を解決するための措置として不可欠であると考えられます。
               
 


 2007年5月に提出した意見書 
  景観地区・高度地区指定についての意見書

        

                           北鎌倉の景観を後世に伝える基金   

                                理事長  吉野 功

風致地区以外の区域について、建築物の高さの最高限度を規制する景観地区、高度地区の指定に基本的に賛成です。

これまで鎌倉市が行なってこられた高さ制限の行政指導を大いに評価したいと思います。そしてその行政指導が限界に来ており景観地区のなかで高度制限を課すことが必要となっている事態も理解します。

美しいまちなみや美しい景観を実現させるためには統一感を感じさせる必要があると考えます。そのためには絶対高さ制限が必要だと考えます。

但し景観地区、高度地区の建築物の高さの最高限度を、一律(第一種低層住居専用地域に指定されている区域を除く)に15mとすることには反対です。

いま日本の景観をだめにした根幹の問題は 都市計画で市街化区域を広く取りすぎたこと 容積率を高くとりすぎたことです。その同じ間違いをしようとしているように私達は思います。

私達は鎌倉駅・若宮大路を中心とする市街地では 12mとし、鎌倉駅・若宮大路に面するところでは景観審議会で認められたばあいは15mまですることが出来る。

北鎌倉駅周辺の市街地では高さ制限を10mとし、主要道路に面したところでは景観審議会で認められたばあいは12mまですることが出来るとすべきだと考えます。

北鎌倉駅周辺の市街地の高さを15mとした場合 伸びやかさを保持する今の景観は全く失われてしまいます。そのような景観計画を私達は許容するわけにはいきません。

景観計画は今の鎌倉の景観の伸びやかさを保持するための景観計画とすべきであると考えます。